スポンサーサイト
- --/--/--(--) -
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事のURL | スポンサー広告 | ▲ top
[doll] 10-BB
- 2015/05/15(Fri) -
 「だから雪の結晶というものは、わたしの乗る舟にもなるの。天からゆらゆらと舞い降りる」

 声が聞こえる。

 僕は夢の淵で柔らかな毛布に包まりながら、まだまだ夜になると冷える空気に触れる頬。

僕「それなら、君の衣装も雪の結晶なの?」

 ああ、エマの声だろうか。とても、とても懐かしいのに、すぐのように思い出せる。

エマ「わたしは雪の結晶の妖精。あなたと話したくて、エマ人形の体を借りたのよ」

 僕は目を開き、辺りを見回した。あの雪原。あの星の輝き。

エマ「あなたは、みんなから少し離れたところにある大木を見上げたわね。雪に覆われた針葉樹の眠った幹にその手を触れて、ふとわたしを見つけたの」

 去年のスイスのスキー場。はじめは全く滑れなくて、みんな男子はどんどん上達して行くのに悔しくて、鼻を紅くしながら悔しくて独りスキー場横の森の入り口に来たんだった。

 それで、何か綺麗な音が聴こえた。寂しくて、もっとみんなと滑れるようになりたくて、そんなことばかりに頭が占領されてたから、その透明感のある不思議な音に気づいた時、一瞬で心が澄みきった気がした。

 頭上まで下がってきた葉の上に雪が乗って、それできらきらと光っていた。陽を受けて。

 それで見つけた。僕の心にそっと近寄ってくるような、雪の結晶。

 『美しいな……雪の結晶だ』

 僕はそこではじめて微笑んで、その結晶を見つめた。心がまるで浄化されていったあの瞬間。

エマ「美しいという言葉は、とても大切な言葉なの……。あの時は、美しい言葉をかけてくれて、どうもありがとう」

 粉雪のような声。ああ、なんてやはり僕の心を癒してくれるのだろう。

 毎夜、毎夜エマは僕に美しい話を聞かせてくれた。星のこと、雪の話や、冬の動物たちのお話や彼等の愛のお話を。

 彼女がいて僕は緊張がほぐれてどんどんスキーを滑れるようになった。カインもほめてくれた。

僕「きみはずっといてくれていたんだね」

 エマは微笑んで頷いた。はじめて、彼女が表情を持つのを見た。人形の微笑んだ顔は口も動かなかったから。

 人形は瞳を動かし僕を見た。そして、その背後からすうっと、純白の薄衣、雪の結晶を纏った女の子が現れた。

僕「ああ、エマ。君の本当の姿なんだね」

 なんと綺麗なのだろう。息を呑むほどに。

 彼女は闇に銀の光を広げた。

エマ「わたしたちは雪のある場所に住むことが出来るの。お願い。自然の世界を大切にして。地球を愛してほしいの。わたしたちは踊って入られる。粉雪に乗って、舞う雪の結晶に乗って。動物たちの節度ある生き方を思い出して。人と

しても自然の摂理に生きる大切さを思い出して。あなたは、あなた方も地球の子供なのだから、地球を愛して」

 雪の結晶の妖精は、闇の天から降り時はじめた雪の結晶に乗って、僕に舞を見せてくれる。

 僕を取り囲んで降りしきる結晶。妖精たちが現れて結晶に乗って舞っている。

 ずっと、僕は見続ける。とても尊くて。




doll 10
スポンサーサイト
この記事のURL | | CM(0) | ▲ top
<<栽培 枝豆プランターに植え替えた | メイン | [doll] 10-B>>
コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
| メイン |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。